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「地域貢献活動」と「社会的責任活動」の違い

今日はこれまで頂いた質問の中で最も多いものから、「地域貢献活動」と「社会貢献活動」の違いについて、ご説明したいと思います。

結論からお伝えすると、「社会的責任活動」は「地域貢献活動」の重要な一部であり、皆さんがよく混同されてしまうくらい、この二つの活動は似ているものです。

ただ「社会的責任活動」の特徴としては、地域貢献の中でも、とくに地域の社会課題に対応し、その改善を目的として実施する活動である点が挙げられます。

わかりやすい事例として、バスケットボール教室を例にあげてみましょう。

一般的には、子ども向けバスケットボール教室は、バスケをうまくプレイするために、スキルを中心に教えるものです。もちろん、スポーツマンシップ等、心構え等も含めて。ですが、日本代表を目指すようなユースのトップレベルの育成といった目的でない限り、いわゆる「青少年の健全な育成」といった社会貢献性を謳うことはでき、実際に運動による一般的な効能は提供できると思います。この時点で、すでに「地域貢献活動」ということはできます。

同じ活動を、ここからさらに「社会的責任活動」としてグレードアップするためには、この活動が、特定の地域課題に対応していることを示す必要があります。例えば、子どもの体力が、「10年前に比べて2割程度下がっている」「運動をすることで、子どものやる気が上がる」といった統計やリサーチデータ等です。この、ある特定の社会課題に対応しているかどうか、という点が、大きな違いです。

大げさに言えば、全く同じ活動をしていても、目的と実施理由により、社会的責任活動にアップグレードできるわけですが、ではなぜ、社会的責任活動の方が格が高いとみなされるのか。

それは、地域課題の分析解像度の高さから、より真剣に地域課題に向き合っている、と認識されるからです。関係者からお願いされて実施するケースも少なくないと思いますし、それが悪いということではないのですが、「地域の課題についてより深く理解する」という具体的姿勢を見せることで、より信頼を得られるのです。

地域のイベントなどに顔を出したり、協働したりする「地域貢献活動」も大切なので、両方を実施していくのが理想で、そのバランスが最重要、というのが今日の本論です。弊社の事業はそのバランスをとりながら「社会的責任活動」のポートフォリオを最適化することですが、「地域貢献活動」と「社会的責任活動」には、その目的と機能に本質的な違いがあります。

上記の図にあるように、地域貢献活動の目的は、地域との「友情」を育むことであるのに対し、社会的責任活動の目的は、「信頼」を育むことです。よって、新しくできたチームやリロケーションで移転したチームにとっては、まず地域貢献活動が最初のステップとして重要です。ただ、ある程度友情を確立できているチームは、活動の大部分を、「社会的責任活動」に移行していくのが、経営的には正解です。

弊社が年間を通してのSSRイニシアティブを設計する際には、クライアントクラブがどれくらい地域に根付いているのか、を重要な指標として検証しますが、実際にはトップリーグに所属するクライアントがほとんどですので、持ち出しのみになることが多い地域貢献活動は最低限にとどめ、社会的責任活動を切り離して独立イニシアティブを構築し、ファンやパートナー企業、地域と一緒にグレードアップして効率的に活動を推進できる体制を構築しています。

幸い、ほぼすべてのクライアントがパートナー企業の獲得に成功し、事業成長にも貢献しています。人財育成も含めて支援させて頂いておりますが、同じ原理を理解した現場の担当者の方々が活動をそれぞれのクラブの状況に合わせて推進して頂けていることも成果に寄与していると思います。

このしくみが、より多くのプロスポーツクラブに拡がっていくとよいと思っておりますので、ご関心あれば是非お問合せください。

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