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世界で爆撃が起こったとき、プロスポーツにできること

 弊社の方でグランドデザインを担当させて頂いたBリーグの社会的責任イニシアチブ「B LEAGUE Hope」のコンセプト “オフコートの3Point”の3つのPは、”Planet(地球環境を守る)” “People(支援が必要な人々に手を差し伸べる)” “Peace(平和・安心安全)”を示しており、「世界平和」を含めています。

 このコンセプトは、弊社クライアントクラブ様にもご活用頂いていますが、スポーツの「世界共通言語」として機能する特徴と、バスケットボールが世界最多の競技人口を誇るスポーツのひとつである点から、またもちろん、すべての時代のすべての人々の人生にとって最も大切なもの、という意味も込めて、平和を含めて設計したものです。

 とはいえ、”Peace” の分野は、防災や交通安全を含めた安心安全な地域社会づくり、という意味でも提示しており、「世界平和」という言葉自体、一般的な日常生活を営む大半の方々にとっては、普段は身近に感じにくいトピックであるため、多くのクラブが大々的に取り組めているかというと、そうではない実態もあります。中には、広島ドラゴンフライズを起点にBリーグ全体で実施した「折り鶴リレー」のような活動も展開されていますが、まだこれからのクラブが多いかとは思います。

 でもそんな中、今回のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、あるクライアントクラブ様から、この有事に何かできることはないか、というご質問を頂きましたので、私個人としての意見をこちらに共有したいと思います。(こういう問いを頂ける状況になったことは大変素晴らしいと思っています。)

 まず、ウクライナに対して直接的な支援や寄付を(組織として)すべきか、という点に関しては、結論としては、現在(2022年3月4日)の状況下では、Bリーグのクラブとしては、そのためのロジックを見出すことが難しいのではないでしょうか。もし、選手やスタッフ陣にウクライナ出身の方がいらっしゃる場合、または住民の多くの割合をウクライナ人が占めるような地域を本拠としているクラブであれば、もちろん何らかの支援対応をした方がよいと思いますが、現状、Bリーグにそのようなクラブはないと理解しています。また、基本的には、国際案件に関してはリーグマターになるかと思いますので、今回に限らず、リーグと協議の上で進めるのがより確実だと思います。

 では、クラブは何もできないのか、しなくてよいかというと、クラブ単位でそれぞれの「ファンや地域のために」できることはあると思います。

 それは、ファンや地域の人々を勇気づけるメッセージを発信したり、連日悲惨な映像や情報が流れてくる状況への対応として、子どもたちや地域の人々の心を癒すような活動をすることです。

 また、日本政府がウクライナからの難民支援受け入れを表明していますので、ウクライナから逃れてきた人々が日本に移住することになった場合、その地域の人々との交流機会にスポーツというツールをご活用頂くため、行政や非営利団体と連携した活動を実施するのもよいと思います。

 そして、最も大切なのは、普段から平和を当たり前のものと捉えず、小さな行動を継続することだと思います。ですので、そういった心構えや習慣を応援するようなメッセージ発信や活動を継続的に実施していくのは有効だと思います。

 例えば、各地域での残虐事件や、児童虐待、家庭内暴力といった問題が起こらないような啓発活動を普段から継続的に実施することも、平和に確実につながるものです。そういった事件や課題を、被害者や関係者だけの問題と認識せず、自分自身も身近な人々との関わりの中で、暴力的な言動をしない、思いやりの心をもって接する、という意識を持ち続けることの必要性をより多くのファンが理解し、忙しい日常の中で忘れがちな大切なことを思い出してもらうきっかけを提供することも、スポーツの力でできることです。

 実際、4年前にLAで実施されたNBAオールスターの連動イベントとして、レイカーズユース財団が主催したバスケットボールクリニックでは、連発した白人警官による黒人迫害事件等に対応して、地域の白人警官と黒人の若者が対話をするセッションが設けられました。私も女子学生向けスポーツビジネス研修の一環としてオブザーバー参加させて頂きましたが、緊迫した雰囲気のなか、静かに淡々と対話が進み、その直後のバスケットボールの試合では、双方に開放的な雰囲気を感じ取ることができたことを今でも思い出します。それだけですべてが解決するわけではもちろんないですが、状況改善に貢献することはできます。

 チェックリストをこなせばよいものでも、正解があるわけでもない分野の活動は、企画も導入も難しい部分が多いのが実情です。しかし、その難易度の高い重要な問題から目を背けず、「うまくできるかわからなくても挑戦する」姿勢こそ、ファンがプロスポーツに期待するもの、プロスポーツがファンに見せ続けるべきものだと私は考えています。ただやみくもに行動するのではなく、それぞれの地域の実態をできるだけ正確に把握し、各分野の専門家やNPOのアドバイスも参考に、適切なやり方で実施できるとよいと思います。

 ウクライナの情勢が一日も早く収束することを心から祈りつつ、日本も関係ないわけではない現在の国際情勢含め、私も今一度平和の大切さについて考え、自分が今日からできる小さなことをさらに積み重ねていきたいと思います。

 ご参考まで、昨年9月の Peace Day Week に、弊社が企画したSpor For Smile セッション「スポーツの力で世界平和に貢献~ Peace One Day 創立者と語るスポーツの可能性~」の映像をご紹介しますので、お時間ある時にご覧頂ければ幸いです。

尚、SDGs全体への対応含め、SSR活動に関する原理原則やヒントは主に私のツイッターから配信しておりますので、 ご関心のある方はこちらからフォロー頂ければと思います。

文:梶川三枝(株式会社 Cheer Blossom 代表取締役)

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